齧指痛心

周の曽参は、字は子與といい、母に良く仕えて至って孝行であった。ある日、参は薪を山の中に取りに行っていた。ところが、参の家に突然の来客があった。母は、参が帰って来るのを待っていたが、なかなか帰ってこなかった。そこで、母は自分の指を齧った。すると、参は突然心が痛くなり、急いで薪を背負って家に帰って母の前で膝まづいてその理由を聞いた。母は、「急な来客があったので、指を齧ってお前に知らせたのです」といった。

單衣順母

周の閔損は、字は子騫といい、幼い頃に母をなくした。父は、後妻を娶り、二人の子供をもうけた。この二人の子供にはきれいな着物を着せていた。損には、粗末な着物を着せていた。ある日、父は損に車の御者をさせたが、体が凍えてしまい、車を引く綱を取り落としてしまった。父はその理由を知り、後妻を離縁しようとした。損は、「母がいれば一人の子供が寒いだけですが、母がいなくなると三人の子供が頼る者がなくなってしまいます。」といった。母は、これを聞いて後悔し、態度を改めた。

爲親負米

周の仲由は、字を子路といい、家は貧しく、あかざなどの葉っぱぐらいしか食べられなかったが、親の為に百里もの遠いところから米を背負ってきた。その後、親が亡くなったのち、南の楚の国に行った。百台の車に穀物を積み、布団を重ねて座り、鼎を並べて食べるような身分になった時に、嘆いていった。「あかざを食べても親の為に米を背負う事もできない。自分は豊かになったが親は既にいなくなってしまった。」


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