恣蚊飽血

晋の呉猛は八歳であったが親に仕えて至って孝行であった。家は貧しく寝場所に蚊帳はなかった。毎年夏の夜になると蚊が多く呉猛の肌に群がり、好きなだけ血を吸っていった。蚊の数が多いといっても追い払う事をしなかった。自分の親が蚊に食われるのが忍びなかったのである。

臥氷求鯉

晋の王祥は字を休徴といい、母親を早くに亡くした。継母の朱子は慈愛の心がなく、父親にしばしば讒言した。そのため、父親の愛情も失う事となった。母は、生きた魚を食べたいといった。時は真冬で寒く池は凍っていた。王祥は着物を脱いで氷の上に寝そべり氷を溶かして魚を得ようとした。たちまち氷が溶けて二匹の鯉が躍り出た。この鯉を持ち帰り、母に食べさせた。

爲母埋子

漢の郭巨は家が貧しく三歳になる子供がいた。郭巨の母は自分が食べる分を減らして孫に食べさせた。郭巨が妻にいう事には、「うちは貧乏で母親に十分に食べさせる事ができない。また、母親は子供に食事をわけてしまう。しかたがないので子供を埋めてしまおう。」子供を埋めるために穴を三尺程掘ると黄金の固まりが出てきた。その黄金の上には「天がこれを郭巨に与えた。役人もこれを取り上げる事はできない。民も奪う事はできない」とあった。

手|益3248虎救親

晋の楊香は十四歳で父親について田んぼに行き粟を刈り取っていた。父は虎に襲われて連れ去られようとした。楊香は手に寸鉄もなかったが父親の事だけしか目に入らず、自分の身を顧みず、虎に立ち向かいその首を抱えた。虎は父親を離してどこかに立ち去った。


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